個人情報の暗号化とは?情報漏洩を防ぐために欠かせない手法を解説
個人情報の暗号化は、情報を適切に管理して漏えいを防ぐために必要な手法です。個人情報保護法ガイドラインでも求められています。
本記事では、個人情報の暗号化について詳しく説明するとともに、3つの方法や暗号化するメリット、注意点などをご紹介します。
目次[非表示]
- 1.個人情報を暗号化する必要性
- 1.1.個人情報保護法ガイドラインに記載
- 1.2.暗号化とは
- 2.個人情報を暗号化する方法
- 3.個人情報を暗号化するメリット
- 3.1.不正アクセスに備えられる
- 3.2.ファイルを持ち出す際の管理ができる
- 3.3.データを紛失した場合のセキュリティ対策になる
- 4.個人情報を暗号化するときの注意点
- 4.1.暗号化しても適切に管理しなければならない
- 4.2.復号される可能性もある
- 4.3.アクセスの制限も必要
- 5.まとめ
個人情報を暗号化する必要性
企業にとって個人情報の管理は社会的信用に関わるため、万全の体制を整えなければなりません。個人情報保護法ガイドラインでは、個人情報の漏えい防止のため、個人情報の暗号化を求めています。暗号化とは、データを別のデータに変換し、データの内容を第三者には分からないようにすることです。
ここでは、個人情報保護法が求める暗号化の内容について確認しておきましょう。
個人情報保護法ガイドラインに記載
個人情報保護法とは、個人情報を取り扱う民間事業者が守るべき義務を定める法律です。そのガイドラインでは、個人情報を暗号化して保管することを求めています。
また、個人情報保護法では、個人情報が外部に漏えいした場合に報告義務を課しています。
ただし、例外として「高度な暗号化その他の個人の権利利益を保護するために必要な措置を講じたものは除かれる」とされており、個人情報を不正に利用できないように高度な暗号化や処置が施されている場合は情報が漏れる可能性が低いため、報告義務は発生しません。
暗号化とは
暗号化とは、データに特別な処理を行い別のデータに変換することです。暗号鍵と呼ばれるデータを使い、元のデータをまったく違うデータに換えます。
暗号化されたデータは、暗号鍵を使えばまた元のデータに戻せるため、暗号鍵が第三者に渡らないよう鍵の管理は厳重に行わなければなりません。
データを暗号化すれば、データそのものが流出しても個人情報の漏えいを防げます。
個人情報を暗号化する方法
個人情報を暗号化する方法はいくつかありますが、主に次の3つに分けられます。
- データの格納前にアプリケーションで暗号化する
- データベースの暗号化機能を利用する
- ストレージの暗号化機能を利用する
格納前に暗号化する方法は、より安全性が高い方法と言えます。クラウドサービスを利用している場合も、利用者側でデータの暗号化をする対策が必要でしょう。
また、データベースの暗号化機能を利用する方法は手軽に暗号化ができますし、ストレージの暗号化機能でストレージそのものを暗号化する方法はストレージ機器の盗難に備えられます。
それぞれの内容を詳しく紹介します。
データの格納前にアプリケーションで暗号化する
データの格納前にアプリケーションを使って暗号化する方法です。データは、データベースに暗号化された状態で格納されます。
データベースを呼び出すと暗号化されたデータが戻り、アプリケーションがなければ暗号化を復元できません。比較的安全性の高い方法で、よりセキュリティを強めたい情報の暗号化に向いています。
データベースの暗号化機能を利用する
データベースが持つ暗号化機能を利用して暗号化する方法です。アプリケーションに変更を加えずに格納データを暗号化します。データを取り出すときに暗号化されるもので、OSメモリ上のデータは暗号化されません。
手軽に利用でき、暗号化の解除が簡単にできるのがメリットです。頻繁に利用する情報の暗号化に向いている方法といえるでしょう。
ストレージの暗号化機能を利用する
OSやファイルシステム、ストレージ機器などに搭載された暗号化機能を使って暗号化する方式です。ストレージ自体を暗号化することにより、データを保護します。
ストレージにデータが入力されると自動で暗号化され、正規のユーザーが読み込むときに自動で復号されます。第三者が不正にアクセスした場合はデータを復号できないため、ストレージ機器の盗難にも対応できる方法です。
クラウドサービス利用時も事前にデータを暗号化しよう
クラウドサービスにデータを保存する際も、利用者側でデータを暗号化してから保存しましょう。データを参照するときにデータを復号して表示させる方法で、復号のための鍵がなければその中身を閲覧することはできません。
クラウドサービスはアクセスがしやすいため、セキュリティのトラブルが発生しやすくなります。そのため、利用者側が鍵を管理し、情報漏洩を防がなければなりません。
個人情報を暗号化するメリット
個人情報の暗号化により、具体的に次のようなメリットが得られます。
- 不正アクセスに備えられる
- ファイルを持ち出す際の管理ができる
- データを紛失した場合のセキュリティ対策になる
暗号化は、近年増加する不正アクセスによる個人情報の漏えい防止に役立ちます。また、ファイルの持ち出しやデータの紛失・盗難の際のリスクに備えることも可能です。
個人情報を暗号化するメリットについて解説します。
不正アクセスに備えられる
近年、企業を狙う不正アクセスが増えています。フィッシングサイトで盗んだり、不正に入手したIDやパスワードでシステムにログインし、情報を盗まれる被害も少なくありません。
暗号化により、このような不正アクセスに備えられます。第三者が見ても意味の分からない情報に変換することで、外部から不正アクセスがあった際の情報の漏えいや改ざんなどのリスクを抑えられるでしょう。
ファイルを持ち出す際の管理ができる
ファイル暗号化ソフトによっては、暗号化したファイルに限り持ち出しを可能にできるものもあります。
どのファイルが持ち出されているかを管理することができるほか、持ち出したファイルの追跡ができる製品もあります。万が一データが流出した場合には、遠隔操作で削除できるソフトもあり、ファイルを持ち出す際の管理を万全にすることが可能です。
データを紛失した場合のセキュリティ対策になる
データを保存したUSBや端末などの媒体の紛失・盗難により個人情報が漏えいする場合もあります。そのような場合でも、暗号化しておけば漏えいを防止できるのがメリットです。
万が一悪意のある者にデータが渡っても、暗号化されていればデータを解読することはできません。暗号鍵の破損などに備え、複数の暗号鍵を利用する方法もあります。
個人情報を暗号化するときの注意点
個人情報を暗号化する際は、いくつか注意したい点があります。暗号化したからといって管理をおろそかにせず、適切に管理をしなければなりません。
また、暗号は解読される可能性もあるため、その対策も必要です。さらに、暗号化だけでなく不正アクセスを防止するためのアクセス制限も施す必要があります。
個人情報を暗号化するときの注意点について紹介します。
暗号化しても適切に管理しなければならない
暗号化しても、セキュリティ対策が不要になるわけではありません。不正アクセスに備えた管理が必要です。
また、暗号鍵が適切に管理されていなければ個人情報の漏えいを防げません。暗号鍵を管理する責任者を明確にし、暗号鍵の定期的な変更やデータと別の場所で保管するなどの対策も必要です。
サーバー上で鍵を保管する場合は、アクセス権の付与やアクセス制限なども行わなければなりません。
復号される可能性もある
暗号は復号される可能性もあります。暗号化アルゴリズムの強度が弱ければ、容易に復号されてしまうでしょう。
暗号鍵を定期的に変えず、同じ暗号鍵を長期間使用していることが知られると、攻撃の対象になる可能性があります。攻撃の対象になると復号され、個人情報が漏えいするリスクが高くなってしまいます。これまでも暗号鍵を盗み出す攻撃はいくつも報告されており、万全な対策が必要です。
アクセスの制限も必要
暗号化とともに、アクセス制限もしっかり行う必要があります。アクセス権限は認証・認可・監査という3つの過程で付与が可能です。
認証はIDやパスワードなどでログインできるユーザーを識別することで、認可はユーザーがアクセスできる範囲を制限するものです。監査は認証や認可のログを記録し、不正ログインの痕跡を特定できます。
まとめ
個人情報の管理は企業にとって重要な業務です。個人情報の漏えいを防ぎ適切に管理するためには、データを別のデータに換える暗号化の処理が欠かせません。
個人情報の暗号化を検討している企業におすすめなのが、暗号化システムと連携することで個人情報ファイルを自動的に暗号化できるP-Pointerです。
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